はじめに
年が変わり日にちも経ちましたが、まずは昨年度の標記大会において立命館大学馬術部・人馬の奮闘によって、3種目総合5位に入賞したことを改めて嬉しく思うと共に、お祝いを申し上げます。この結果は監督・教官・コーチ等のスタッフの皆さん、OB会の諸先輩や役員・会員の皆様、そして現役部員のご尽力が同一ベクトルに向いた賜物と感じております。また、特筆したいのは出場した所属馬延べ11頭・実頭数8頭のうち、延べ7頭・実頭数6頭が元競走馬(サラブレッド)からの転用馬である点です。ご承知の通り、サラブレッドは繊細な神経と癇性から、乗用馬への再調教は簡単ではありません。現状は、ハイクラスの馬術競技は無論、学生馬術においても馬術用外国産馬等が活躍する時代です。その中で、全日学生の大会でサラブレッドが結果を残すことは、学生馬術のひとつの方向性を示していると思います。馬匹の資質、正当な調教、オーソドックスな騎乗と扶助が整えば、サラブレッドでも十分に競技馬として通用することを実証しています。さらに、個人的にも嬉しいことは、JRAより寄贈した馬匹6頭(延べ9頭)が出場を果たし、さらに入賞馬もいたことです。移管に際しては、一定の調教が施されていて、資質のある馬匹をなるべく選定しましたが、例えば足元が弱かったり、気性に難があったり、調教途中であったりの馬たちでした。皆様の努力で、彼ら彼女らを大事にメンテナンスし、根気よく再調教をして競技馬に育てていただいたことに感謝しております。
成績全般
さて、競技結果・内容を見ると、3種目総合成績は12校中5位、関西では関大の3位に次ぐ成績でした。さらに、4位早稲田・3位関大とのポイントは小差であり、障害飛越競技以外は2校よりポイント上位でした。また、優勝の日大・2位の明治とは障害飛越・馬場馬術競技においてポイント差はあるものの、今後の課題克服と成長次第で、その差は詰められると認識しています。例えば、総合馬術競技においては参加12校中3頭全てが順位を確保できたのは、専修1校のみという結果でした。今大会は、野外コースの難易度が高い三木HLPでの初開催であったので、関東勢の馴致不足があったと思われますが、立命は実質出場の2頭(1頭は調教審査のみ)が、ともに順位を確保しました。今後も継続的に総合競技を強化することで、さらなるポイント加算の可能性は高くなると思慮されます。
各競技検証
今回、実際に競技観戦できなかったので、成績表と写真等から競技毎に検証すると、
まず障害では、選手も述べていたように第1走行では硬さがあったのか、無駄な減点が多過ぎました。特にブランシェル・龍綾は大幅に減点を減らしてほしいところです。
同競技は全日本クラスの馬匹も多いので、上位を狙うには3頭が限りなく満点に近い成績を残さなければならず、人馬の精度を上げることが急務でしょう。ただ、龍綾は130cmの高さが困難、翔如がもし高齢で引退ともなれば大幅な戦力ダウンです。障害団体8位からさらなる高みを目指すには、130cmクラスの馬が少なくとも2頭は必要であり、多方面からのバックアップが望まれます。
次に馬場では、初出場ながら健闘した龍伯と、安定した演技の龍舞の2頭が決勝に残りました。両馬はさらに演技の細部までレベルアップを図り、決勝でパーセンテージが落ちない訓練が求められます。龍伯は元障害馬で高齢、さらに推進は重くて大変ですが、馬場の素養もあるので馬体のケアを十分にして、好騎乗を望みたい。また、龍駿は総合競技馬で馬場専門ではないが、さらなる研鑽で15位以内を目指したい。龍牙はブラックジョーカーという元競走馬で、疾病のため美浦TCで実験馬となり咽に穴を開けました。穴は開いたままですが、歩様がいいのでJRAで乗用馬に転用後、移管した馬です。線は細いですが龍駿同様に研鑽して15位以内に。さらに、昨年馬事公苑から移管したバクシンマックス(龍踊)は馬場馬術競技の実績馬なので、順調に調整できれば、本年のラインナップに厚みが出ます。上位2校との差を詰め、さらには昨年の馬場団体3位を超える成績を期待します。
最後に総合ですが、団体3位・龍綾が個人4位と健闘しましが、もし開催が三木HLPではなく馬事公苑であれば、もっと関東勢が活躍し結果はもう少し違っていたでしょう。ただ、初出場の龍綾が野外騎乗で障害減点がなく、障害も120cmクラスで安定した飛越を見せたことで総合競技向きと評価できます。今後の訓練・調教で、さらに上位入賞も可能でしょう。一方、実績馬である龍駿の20位は不本意な成績と言えるでしょう。再度、ライダーは基礎訓練とフラットワークを徹底し、野外騎乗においても、柔軟なハミ受けと透過性を維持した騎乗で、本年は入賞以上を目指してください。また、前項で触れたように、龍伯は馬場馬術決勝もあり調教審査のみの出場で、団体3位とは言え3頭では団体が組めていない現状です。さらには、龍綾は障害、龍駿は馬場との兼用です。個人的には馬体に問題がなければ兼用でもいいと思いますが、人馬のリスクを考慮すれば野外騎乗訓練は必須であり、講習会等を活用して基礎からしっかりと学んでほしい。訓練の中で総合競技馬が育成され、3頭でのチーム編成・ポイント獲得に期待したい。
最後に
長々と勝手なことを書きましたが、競技面では全国大会で戦う一定のレベルまで到達できたと思っています。今後は、各競技とも団体での3頭目以降の馬と、それを誘導するライダーを順次育成することで、さらに上位の成績と安定した技術レベルを維持できると思います。また、併せて考慮したいのは、乗馬経験者以外の部員も乗馬や馬術の楽しみと、競技の醍醐味を体感して、体育会馬術部員が一体感を持って学生生活を過ごすということです。現役の皆は部員が少ない中、経費捻出や労働力など何かと大変でしょうが、志を高く強く持って全員で頑張ってください。
吉田監督が就任以来、馬匹の充実と人材の育成の両面で大学やOB会、他団体など多岐に亘り精力的に働きかけられ、計画的に着実に馬術部運営を推進されておられます。当方もその方向性とご努力に賛同し、関連からの馬匹の供給と人材の発掘について微力ながら協力させていただいています。本来なら京都の現場にてお手伝いすべきですが、仕事を含め困難な状況です。また、多くのOB・OGの方は日常生活では、なかなか馬とは縁遠い生活になっているのが現実ではないでしょうか?でも、それは仕方ないことと思いますが、ただ馬術部を忘れないでいただければ幸いです。そして、現役人馬が活躍することでまた関心を持ち、競技成績が気になったり、競技会を観戦しようかと思ったり、たまには観戦していただいたりすれば、それは立派なOB・OGで強力な立命館大学馬術部サポーターです。当方も引き続きサポーターの1人として、またOB会としても出来る限り馬術部をバックアップしていきたいと思っている次第です。
東日本支部 支部長 阿部 憲二(S58年度卒業)
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